じめじめとした梅雨の時期、なかなか外で遊ぶことができずにつまらないですよね。
そんな雨の音の中、耳を澄ましてみると生き物の声が聞こえてきませんか?
「ケロケロ」「げろげろ」「くわっくわっくわっ」
日本語のオノマトペはとても面白いですね。
苦手な方も多いカエルですが、子どもたちの前で
「うわ気持ち悪い!」
と一蹴してしまっていませんか?それ、非常にもったいないです。
子どもにとっては全てが学びです。カエルに対する嫌な感情が子どもたちに伝わり、子どもたちもカエルによい印象を抱かなくなってしまいます。(生き物全般に言えますが)それはあまりよい学びではありませんよね。
さて、今回は梅雨の時期から元気な鳴き声が聞こえてくる「カエル」にまつわる絵本を紹介します。
カエルの物語や写真絵本、図鑑などに触れてみましょう。きっとカエルの魅力に気づき、そこから得られる感情は、子どもたちにとっても大きな学びとなりますよ。
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カエルの絵本(物語)
ふたりはともだち
出典:アーノルド・ノーベル 文化出版局
1冊目は「ふたりはともだち」です。
この絵本のお話、令和2年度に小学校の国語の教科書にも載ったことがあるようです。名作ですものね。
主人公は見た目がTHE・カエルの「がまくん」と「かえるくん」です。
この2人の友達エピソードなのですが、なんともほっこりさせてくれます。
見た目はカエルですが、心は人間、少年のような2人です。
読み終えたころには
「ああ、友達っていいな・・・」「・・・あ、私こんな友達おらんかったわ」
と思えるお話です。
作者のアーノルド・ノーベル氏は他にも「ふたりは」シリーズを出していますので、是非子どもたちと楽しんでみてくださいね。
ふたりはともだち (ミセスこどもの本) [ アーノルド・ローベル ] 価格:1045円 |
オレ、カエルやめるや
出典:デヴ・ペティ マイク・ボルト マイクロマガジン社
2冊目は「オレ、カエルやめるや」です。
このカエルの少年は、お父さんにそう伝えます。なぜかって、彼は自分がカエルであることに疑問を持っているのです。「ぬれてて、ぬるぬるで、むしばっかり食べている」そんな自分も嫌ではないのだけれど、彼は他の生き物たちに憧れます。「ねこになるや!」「ぶたになるや!」と。
そんな彼の言う事を、お父さんは「なるほど」と一旦受け入れますが、「だけどおまえはそれにはなれないよ。なぜならカエルなんだから」と伝えます。何度か押し問答をし、それでも諦めない彼の前にある動物が現れ、あることを理由にカエルであることを諭されます・・・
この絵本は、なんというか物事の本質を突いてくるようなお話だなあ、という感想です。
夢を見る子どもと、現実を伝える親と・・・彼は何にでもはなれないのかもしれません。しかし、彼は彼になることができます。それが人として幸福に生きるためのヒントなのかもしれません。
何にでもなれる、何でもできると無責任なことは言えませんが、自分は自分という自覚を持てば、どんなことにでも挑戦していける心が芽生えるのかもしれませんね。絵本は難しいことも伝えてくれますね。
余談ですが、私が年長児の担任の時にこの絵本を持ってきてくれた子がいて、何にでもなれるカエルの絵を描いてくれたことがあります。とてもかわいらしい絵でしたよ。
価格:1760円 |
カエルの写真絵本
うまれたよ!オタマジャクシ
出典:関慎太郎 小杉みのり 岩崎書店
3冊目は写真絵本の「うまれたよ!オタマジャクシ」です。
みなさん、表紙の黒いもの、何か分かりますか?実はこれ
ヒキガエルの赤ちゃんなんです。
正確には孵る前の卵の写真です。
子どもの頃、田んぼやため池でカエルの卵を見たことある方も多いのではないでしょうか?
この絵本では、ヒキガエルの母親が卵を産んでから、生まれて、成長し、大人の姿になるまでを追っています。まさにドキュメンタリー絵本です。
筆者が以前勤めていた幼稚園は九州の山村でしたので、ヒキガエルを見かけることもしばしば。(こちらではドンク?ドンコ?と呼ばれていました。)
そんなカエルさん達を一目見た子どもたちは、
「気持ち悪い」「怖い」
という感想を抱く子も少なくありませんでした。
子ども達のそのような反応は、知らないものに対して本能的に防衛心理が働いているのかもしれません。(もちろん周囲の大人の反応から学ぶこともあります)
実際に筆者はこちらの絵本を子どもたちに読み聞かせ、「カエルは怖い生き物じゃないんだよ」「こんな不思議で面白いところもあるんだよ」と説明すると、子どもたちから嫌悪の感情が薄れ、どちらかというと目の前の生き物に対しての眼差しが変わった経験を何度もしてきました。
人も同じ自然の中に生きる動物です。自然から学び人間は成長してきました。
その原体験を子どもたちに感じてもらうことも、保育士、幼稚園の先生方の仕事のひとつではないでしょうか。
うまれたよ!オタマジャクシ (よみきかせいきものしゃしんえほん) [ 関慎太郎 ] 価格:2420円 |
ずらーりカエルならべてみると・・・
出典:高岡晶江 松橋利光 アリス館
続いて紹介するのは「ずらーりカエルならべてみると・・・」です。こちらも写真絵本ですが、同時に日本に生息する43種類全てのカエルが掲載されている図鑑にもなっています。
こちらの絵本はもちろん普通に読み聞かせしても楽しいですが、子どもたちと一緒に出会ったカエルは何ガエルなのか?と一緒に調べるのもとても楽しいです。これ、結構盛り上がります。
「先生、このカエルだ!」「え、こっちじゃない?」
と子どもたち同士でコミュニケーションをとりながら、議論するのはとても楽しそうです。
カエルは自然の中で観察してもよいですが、実際に子どもたちと飼育してみて、じっくりとその姿を見てみるのもとてもよい経験になるのではないでしょうか。
※カエルはどの種類でも毒を持っています。触ったら必ず手を洗いましょう。また、カエルに触れた手で目に触れたり、口に触れたりしないよう子どもたちと約束をしてくださいね。
価格:1650円 |
世界のキレイでかわいいカエル
出典:大渕 希郷 パイインターナショナル
日本のカエルだけでなく、世界中のカエルににも目を向けてみましょう。
こちらの写真集、世界中のカエルが美しく掲載されています。中にはド迫力のカエルや不思議な見た目のカエル、なんでこんな色してるの!?と思えてしまうカエル等、見るだけで楽しめる写真ばかりです。
世界に目を向ける、よいきっかけづくりににもなるかもしれませんね。
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最後に
今回はカエルの絵本を紹介しましたが、いかがでしたか。
意外と保育や教育の中でカエルってよくでてくるものかと思います。しかし、実際には苦手な方も少なくない印象です。
カエルはとても身近な生き物です。そんな身近な生き物に嫌悪感を抱きながら過ごすより、カワイイ!とか面白い生き物だなあとか、そんな気持ちを抱いているほうが、人生豊かになるかもしれません。また、そんな姿を子ども達に見せることができる人は素敵だなあと思います。
筆者が以前住んでいた山村では春頃からカジカガエルの鳴き声が聞こえてきていました。美しい渓流にしか生息せず、またその鳴き声も美しく、その季節の風物詩にもなっていました。そんな豊かな自然がいつまでも残ってほしいという願いを持ちながら、今回は終わりたいと思います。
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